不滅

L'IMMORTALITE

【告知】9/22 磯谷渚『天使の欲望』日本、2013 @渋谷ユーロライブ 19:30~

私、川口陽一がサウンドデザインしました、

磯谷渚監督『天使の欲望』

が、このたび一夜限りの復活上映されることになりました。

2015年9月22日(火・祝) 19:30より上映開始
場所は渋谷ユーロライブ(元オーディトリウム渋谷)です。


『天使の欲望』予告篇 - YouTube

「第8回田辺・弁慶映画祭」で同じくコンペ部門で掛かった

武田真悟監督『ファンタズム』の併映となります。
こちらの上映は、18:00からと、20:45からの2回上映、入れ替え無しの2本立て上映です。

www.youtube.com

こちら失礼ながら未見なのですが、メインキャストに長宗我部陽子さんを配し、フリードキン『エクソシスト』を思わせるような仕掛けが目を引く予告で、興味を引かれました。見るのが楽しみです。

『ファンタズム』『天使の欲望』一夜限りの二本立て上映!

さて、『天使の欲望』、かれこれ2年前に仕上げたこの作品ですが、私個人にとってとても意義深い作品です。以下、解説というか回想というか…

百合子と沙織が、出会ってしまう。二人はコインの裏表のように、自らの欲望の陰画をお互いの中に見てしまう。もし違うタイミングで出会っていれば、親友になれたかもしれない…、そんな二人の、誇り高き生き様。私流に言うとそういう映画。

 オールアフレコ、つまり現場の音は一切使わず、すべての台詞を、そして環境音や足音などの動作音もすべてを後から収録し、ミックスしていくという、手法でサウンドを構築していきました。これにより、独特のリアリズム、距離感を獲得することができたと思います。すべての音要素を別の後から収録してるわけなので、演出/ミックスの自由度も上がり、実験的なことも試せた。シネスコのスクリーンに浮かぶ彼女らが、貴方の耳元で叫ぶ、その息吹を感じていただければと。

当時、この作品を仕上げることは挑戦だった。単純に、オールアフレコを仕上げるのは時間と手間が掛かるし、そもそも、私は、この依頼を果たしてやり遂げることができるのか、不安はゼロではなかった。でも、1度オールアフレコの作品をやってみたいという欲望はずっとあったので、受けることに迷いはなかった。むしろ嬉しかった。

映画学校の同期の修了制作である、冨永圭祐監督『乱心』(2011)を地震を経て仕上げて以来、この先どうやっていくか曖昧模糊としていた時期(今もそうだけど)、に同校の後輩である監督に声をかけてもらって、早い話やるべきこと、を与えられたので、助かった、という感じがしている。夜な夜な家内制手工業で効果撮りとミックスを共に繰り返し、納得できるまで作業を詰めさせてくれた監督には感謝しています。

この挑戦と、成功がなければ、これから公開する『ジョギング渡り鳥』を仕上げることなど、到底出来なかったと思う。そんな2本が、奇しくも同じ時期に上映されることは、私にとって、とても大きな出来事になるでしょう。

そういう個人的な思いもありつつ、無論、映画としての価値は、作り手の立場ですが、自信を持ってオススメするものであります。映画祭コンペなどではなく、一般公開での上映の意味は、単純にそれが興行で楽しむための場であることにつきます。ひとつ、劇場に足を運んでいただき、映画の豊かな時間にしばし身を置いて見てはいかがでしょうか。

今年のシルバーウイークは、『天使の欲望』と『ジョギング渡り鳥』を見るのが、正しい過ごし方ですよ。