不滅

L'IMMORTALITE

ブラッド・バード『トゥモローランド』アメリカ、2015年 @TOHOシネマズ新宿 スクリーン6

前作の『ミッション:インポッシブル・ゴーストプロトコル』がこの作家の初見で傑作だった。ラストの戦いの舞台に立体駐車場を選んだのにはなるほどと思った記憶がある。
シナリオレベルではかなり欠点が多い。複雑な設定を複雑なプロットで語ってしまっている。段取りの多さに辟易してしまい、二幕目の彼女のドラマにイライラさせられる。2人が合流してロケットを打ち上げるまでは正直辛かった。「現在」から過去を語るタイプの語り口もあまりうまくいってないように思う。(アテナの視点の語りの方がまだ良かったのではないか)(アテナはまどか☆マギカのQBみたいだなあと思った)
やはりこの作家は上下運動、とりわけ上昇することではなく、落下することでドラマを組み立てる人のようだ。
少年は地を這うばかりだったロケットベルトで飛ぶことが出来て、初めて彼女の前に降り立ち、選ばれたものであることができる。アトラクションのゴンドラは彼の資格を認めると、まず落下する。
圧巻はエッフェル塔のロケット。このロケットは落下するために、宇宙空間まで飛び立つのだ。
この映画は無意識に「トゥモローランド」は地下にあると考えているようだ。
トゥモローランド」はクレヨンしんちゃんの「オトナ帝国」のような、かつて夢見られた未来であり、時制は過去なのだ。過去への退行と落下がユニゾンしている。逆にもう一人の選ばれた者である彼女はリフトで上昇する時に未来を見る。
やがて少年は大人になり再びロケットベルトを操り、永遠の少女を優しく落とすだろう。それは少年時代を過去のものにするという大人の儀式なのだ。